クナド国記 ネタバレ感想


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機械文明を排斥した春姫達の生きる頽廃された未来。千年前の現代を鉄鬼の意識として生きた彼は何を目的とし何を伝えに来たのか。


中二全開で展開される今回の和風伝記ADV

肌色少なめな分シナリオに力が入っており、実に読み応えがあった。言霊は確かに便利で不足を魔法で補ってくれる。都合良くも思えるのだが、普通に書いたのではこの物語は紡げない。そこには御影&克さんを筆頭にした製作者達の努力があったのだろう。



※ 記憶を頼りに書いているので抜けた部分や違う箇所が多くございます。ご理解下さい。



〈愛理√〉


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まずは物語の前半を埋め尽くしたカントの美女、優里のお話から語らうとしよう。そう僕が最初にお世話になった人だ。感謝を忘れてはならない。信の境遇を妬みながらも尊敬を持って世話係に徹した仁義に尽くす彼女は徐々に信と打ち解け合い恋に落ちていく。だが優秀な遺伝子を残す事を意味としているカントで優里は無能力者で農民の家系。特別な才能は持っていなかった。これでは言霊と鉄鬼の力を有する信と完全に釣り合っていない。そこで八剣の一人を倒して優里の力を認めてもらえれば相応しい婚姻を認めてくれるのではないかと思ったのだ。そして決戦の日、優里は勝利ではなかったが春姫を追い込む事ができた。自信を付け皆から慕われる英雄となった彼女は今までの自分を捨て新しい私として信と熱い接吻を交わすのであった...


【感想】


男女観が逆のカントでは女性からアプローチするのが当たり前らしい。その設定を特に活かせていたのがこの√だと思う。普段は自分の意志を尊重しない彼女が最後に強引に主人公の唇を奪いにいった勇気。あぁ素敵。声が可愛いから声優さん調べてみたんだけど今思い出せるキャラで恋0のマヨ姉さん。聴いた人はすぐに分かると思うが僕は覚えるの苦手だから『鈴谷まやさん』あ、覚えた。あと慌てた時の声が俺つばの明日香に聴こえて...まぁこの話は置いといて、頑張り屋で照れ屋の彼女をいつまでも応援したいと思えた。非常に微笑ましいルート。実はその後の派生で親父との再会シーンがあったけど、これも胸アツ展開でかなり痺れた。しかし本筋で満腹感を得た僕は先に控える期を惰性で進めすぎてしまい少し見逃してしまった。反省中。



〈茜&葵〉

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中盤で活躍するこの双子タッグ。茜は風を操る風神、葵は雷を司る雷神。八剣の二の神を任された彼女達と紡ぐ物語とは。鉄鬼の真の力を引き出せていなかった信は春姫の命で双子を訓練に付ける。極限状態までに追い込まれた信は見事鉄鬼本来の力を自在に操る事に成功。日々の鍛錬が続いたある時、茜と葵が信に惚れ始め2人の間に軋轢が生じる。そんな私情とは裏腹に夏姫の策謀により人型鉄鬼の襲来が突如起こる。当然連携も取れなかった茜達は鉄鬼殲滅に失敗し、葵は茜を庇い瀕死状態に。その想いを受けた茜と信。彼女なりの流儀でカントを守る施策を講ずる。そうして見事人型鉄鬼との戦闘に勝利した彼女らは信と幸せの家庭を築いていくのであった...


【感想】


個人的に一番と言っていい。液晶に祈りを込めて葵の無事を願った。『信も好きだけど私はやっぱりお姉ちゃんが好き』はぁ姉想い尊い。茜も勿論良かったけど悲劇のヒロインに味方してしまう国民性。日常も彼女ら二人が調和すると更に和やかで華のある雰囲気に変わる。思えば飛躍した時に見えた双子のパンティで既に僕の心は射止められていたのかもしれない。最後の茜と信で天空いや宇宙から降下して人型鉄騎は突撃するやつはカンフーハッスル如来神掌を僕の中で連想させた。中二心を燻られる。カッケェ。その後の派生はAIのyouから第二期の過去の少女(博士の先祖)と繋がって黒神の襲来から救いの手を差し伸べるってお話。感極まって号泣とはいかなかったものの、しんみりで温まる内容だった。全体通して素晴らしいEND。



〈春姫〉

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物語も終盤に差し掛かり最後のフィナーレを盛大に飾る為の準備へと向かう。最終章で語られるのはそれぞれの正体についてだ。信と春姫の最初の出逢い、逆さまの状態は時代の反転を示唆していたのか人間と鉄鬼の決して交えない境遇を示唆していたのか。意味のある演出なのだろう。そんな春姫と信の再会に想いを馳せながら書いてみる事にしよう。


序幕の温泉で春姫が語ったのは信と私との間で子を作りたいという最初の告白。信は遠回しで好意を伝えられたとは知らないまま、2回目の春姫からの告白を改めて受ける事になる。こうして繋がり幸せを迎えたばかりの二人だったが、信は最後の役目、自身の在り方を見つける為に鉄鬼の声(震源)にアクセスする事を決断する。春姫を残し、始まりと終わりの社を信は潜る。そこで夢に出てきた黒神と夏姫の存在する世界へと辿り着き、主人公は鉄鬼として夏姫を倒す選択をした。これに勝利し鉄鬼側の人間に対する恐怖心が消え、全ての鉄鬼は安堵し消滅した。その後、倒された夏姫が主人公の言霊で生き返る。現実世界に戻った夏姫は言霊の力を操れる自分の不足を与えて作り出した春姫に殺される事を願った。そして最期は姉を殺す事を目標に鍛えてきた冬人に『敵』としてトドメを刺され安らかな眠りに付く。その後主人公が自分の意思で復活し、春姫と涙の再会を果たすのであった...

【感想】


んー良かったけど、気持よくは終われなかったのが少し残念。僕が最初に思い描いていたのは鉄鬼と人間の共存。イメージしてたのはこんな感じ。


黒神は夏姫との戦いに負けたんだけど、夏姫は破壊しようとせず交渉の余地を与えた。そこで人間の形をした信というロボットを送り込む。『その子が人間と接して仲良く生きれるか最後まで行く末を見届けてから私を倒すか決めてほしい』そして共存の道を選んだ世界に平和が訪れ、機械の信と人間の春姫はお互いを尊重し合い幸せに暮らしたとさ。ちゃんちゃん的な。


でも実際は鉄鬼が消滅し夏姫とゆう存在が消えて、都合良くなった俺たち私たちの平和な物語。主人公は夏姫にとってのただの道具。自分を倒してくれればそれで満足。鉄鬼殲滅はおまけ程度。鉄鬼自体も人間に対する恐怖以外の感情は無く、強敵を倒して恐怖から解放されただけ。"実際は違うけど"印象としてはそう映った。そして僕が一番気になったのは最後の春姫の『信を返せ、おまえ消えろ』みたいなそこまで酷くないけど完全に悪キャラ扱いされた夏姫に少し同情。結果、鉄鬼も夏姫も救われなかったので、こりゃハッピーエンドではないなと。


所で斥候に行った三神どうなったのか。

口頭だけで語られた彼らの実態は未だ謎だ。


なぜ春姫は生きていられたのか。

夏姫が完全消滅し、春姫の原体が消えかけた時に主人公が『生きろ』と言霊を掛け復活みたいなエンドを想像してた。作り出したものは最後まで残るという事だ。


主人公なんで急に復活できたのか。

これも夏姫の力とか言霊を使用したのだろう。人間に戻ったんだっけ、凄い。


やはり言霊使えばなんでもありな所。最初から人間と機械のハーフなどとせず、機械のままでラスト迎えた方がシンプルで良かったんじゃないのとは思った。

 


【まとめ】

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凄い楽しませてもらったので気になる点を除けば100点!!クナドの世界観にどっぷり浸かる事ができました!!最近のpurpleさんの作品がどうも自分と合わなくて敬遠してたけど今回を機に次回作への期待が高まった。エロ基準で総評してる人の意見に惑わされちゃいけない。僕からしたらしっかりエッチだ(陰毛あざす)とにかく正月にピッタリだし、これで新年あけましておめでエロゲできたってわけ。


          クナド国記これにてfin...

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